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【質問】No.82 (org.#1284)

「赦し」とは、シンプルなものではないのですか?

赦しは『奇跡講座』の中心にある教えであり、このコースにおいては、非常に多くの赦しの局面が取り上げられ、論じられています。また、このQ&AシリーズやFACIMの出版物などにおいても、「どのようにして赦すか」ということの様々な局面に関して、非常に多くの議論がなされています。

そうしたことのすべては、「赦しをシンプルに実践するにはどうするのが一番いいのか」と思っている人には、混乱のもとにもなりかねないと思います。

赦しについて様々な側面や事例がこんなにたくさん述べられているのを前にして、多くの人々が次のような疑問を抱くのではないでしょうか。つまり、赦しとは単に、「私たちが自我の考えに気づいたなら、その考えと自分自身を、裁くことなく真摯に赦し、その考えを聖霊に渡して癒してもらう」 というだけの、単純なことなのではないのか、という疑問です。

「テキスト」の第5章の末尾には、「赦しのプロセス」についての素晴らしい記述があります。これは、私たちが、自我の「赦そうとしない」想念のすべてに対し、普遍的に使用できるものではないでしょうか?
 

【回答】

おっしゃる通り、「テキスト」の第5章末尾に記されているプロセスは、赦そうとしない想念に気づいた時には、あなたがいつでも使用できるものです。

にもかかわらず赦しのプロセスが様々な形で述べられていることには、いくつかの理由があります。(そして奇跡について様々に説明されていることについても、同じことが言えます。)そして、それらはすべて、私たちの心の状態に因るものであり、その概念やプロセスそのものに因るものではありません。その概念やプロセス自体は、おっしゃる通り実に単純です。

その理由の一つめは、私たちは、自分の生活における諸々の状況や環境をそれぞれに異なったものと知覚しているので、赦しについても様々な形で述べられているのを聞くことが必要だという点です。いずれ私たちは普遍化することを学び、形態に関わりなくあらゆるものの中に同一の内容を認識することになります。そして、その時には、赦しは非常に単純なものとなります。

二つめは、自我は、私たちの赦しの練習の中に、私たち自身が気づかないうちに楽々と入り込んでくることができる、という点です。肉体をもった個人としての自分のアイデンティティーを保持したいという私たちの執着は、私たちが認識しているよりも遥かに大きいものです

ということはつまり、私たちはそのようなアイデンティティー(罪・罪悪感・恐れの実在性への信念を含む)を強化するためにこのコースの教えを使う方法を、密かに見つけようとする、ということです。さらには、そのような自己の実在性をおびやかすものと知覚される教えに対しては、どんな教えであれ、私たちは激しく抵抗するのですが、このコースの教えというのは、明らかに、そのように知覚される教えなのです。

こうした観点からは、あなたが提示された単純で正確な記述さえも、誤解や誤用されやすいものと言えるのです。あり得ないことに思えるかもしれませんが、これまでに、このコースを学ぶ人々は、あなたが述べておられる概念の一つひとつについて、曲解したことがあるのです。つまり、「自我の想念を赦すということ」についても、「私たちの自己を裁くことなく赦すということ」についても、そして「自我の想念を聖霊に手渡すということ」についても、よく誤解されてきたのです。

私たちはこのコースに惹かれると同時に、それを恐れています。私たちがその原理を理解し実践する際には、この両面感情から影響を受けざるを得ません。また、自我の思考体系に対して私たちがほとんど無意識に抱いている忠誠心によって、私たちが影響されないわけがないのです。だからこそ、イエスは、たとえば「破壊するための赦し」(T-30.VI.1-4; W-pI.126.1-7; S.2.II)といった概念について、語っているのです。

私たちは自分の自覚から真理を追い出しました。そして私たちの一部はそれが追放されたままにしておきたいのですが、別の部分はそのように望んではいません。したがって、私たちは一度に少しづつ真理を受け入れていくしかありません。どの瞬間であれ、自分が許容できるだけの真理を受け入れるのであり、決して一度に真理を丸ごと受け入れるのではありません。これが、『奇跡講座』の教えが私たちにとって複雑に思える理由です。その教え自体が複雑なのではなく、私たちが複雑なのです!(T-11.VI.3; T-14.I.5参照)