ACIM 公認邦訳プロジェクトの推移と現状について

(2010 年8月)

 
このとこ ろ、A Course in Miracles (ACIM) FIPFACIM公認邦訳版『奇跡講座』の 出版を待ちかねておられる読者の方々から、 何故そのように長い年月がかかっているのか、いつになったら出版されるのかとの質問が数多く寄せられています。 そうした質問にお答えするために、 ここで、これまでのACIM邦 訳プロジェクトの推移と現状について、 簡単に説明させていただきます。

  (*注:  現在、ACIMは、「奇跡の道」、「奇跡のコース」、「奇跡の学習コース」、「ア・コース・イン・ミラクルズ」などの題名の もとに、 試訳や部分訳などを含む日本語訳がインターネット上で閲覧や入手可能、または出版予定となっているようですが、 以下の文章は、FACIMのケネス・ワプニック監修のもとに進行中の、ACIM出版元による公認の翻訳に関する情報です。)



翻 訳チーム編成の推移

 FIPFACIM公 認のACIM翻訳プロジェクトは、どの言語でも、主幹とな る翻訳者(Primary Translatorと呼ばれる)と、 その補佐役(Editor-translatorReaderな どと呼ばれる) となる翻訳者のチームで構成されます。(それぞれの役割を担うの は、一人でもグループでもかまいません。)

1990年3月に、加藤がACIM翻 訳についてFIPの ジュディス・スカッチに初めて問い合わせて以来、これまで、6人の翻訳 者が関わり、4通りの翻訳チームが組まれました。その編成は、以下の通りです。 (敬称略)

(1)  (主)田中百合子、(補)加藤三代子 (内定のみ)-- 1991年 頃から1995年 まで待機

(2) (主)澤井美子、はんだ まり、新田孝三、(補)大内博  19971998

(3) (主)大内博、(補)加藤三代子 ― 1998年 ~1999

(4) (主)加藤三代子、(補)澤井美子 - 2000年 から現在(途中に休止期間あり)

 
(1)のチームは、田中がFACIMの ワプニック博士のもとでの1年 間(1994年 頃)の勉強を終了した後に開始されることが 内定していたのみで、実際には、 このチームによる翻訳プロジェクトが正式にスタートすることはありませんでした。

そ の後の(2)および(3)の場合は、 どちらも主幹と補佐役の間で、ACIMに ついての理解や見解にかなりの相違があったため、 チームワークが機能せず、初期の段階でチームが解散しました。

現 行の(4)のチームの構成員である私たちは、 それぞれワプニック博士の指導を受けながらACIMを学んできており、ACIMの 基本的理解における一致という点では 問題はありませんでしたが、翻訳作業の進め方については、 見解の相違が生じてチームワークが一時中断した時期もありました。

と いうことで、 まだ邦訳版が出版されていない第一の理由としては、 うまく機能するチーム編成を模索する試行錯誤の時期が非常に長かったことが挙げられます。

それに加えて、ACIM自 体の難解さと奥の深さ、 およびその翻訳作業の複雑さ・むずかしさによって時間がかかっている、 ということです。

で すから、 インターネット上で時々見られる「ACIM邦 訳プロジェクトにおいては、 これまで数人の翻訳者が完成させたいくつかの翻訳がどれも不合格になった」というような噂は、 全く事実無根です。

 

翻訳にかかる年数

一 般に、ACIM 翻訳にかかる年数としては、 比較的易しい西洋語への翻訳の場合でさえ5、6年かかるのは普通であり、 むずかしい言語(ヘブライ語、ギリシア語など)では10年 かかったケースもあります。

英 語とはまったく異なる 言語構造をもつ日本語への翻訳は特にむずかしく、 他の言語版の状況から考えても、もともと、10 年かそれ以上かかったとしても おかしくはないという性質の仕事です。そして、邦訳プロジェクトが一時休止した時期がありますので、これまでACIMの 邦訳に費やされた実際の年数としては、 まだ8年ほどということになります。

こ の点のみに注目するなら、邦訳に異常な長さの時間がかかっているわけではないことが、お分かり いただけると思います。

 

公 認プロジェクト の性質

け れどもこのプロジェクトは、 純粋に翻訳作業だけのレベルで語ることはできず、 翻訳者の意志や希望では決まらない側面があります。ACIMに 関する様々な事柄と同様に、 翻訳プロジェクトに関するあらゆる決定も、常に、FIPFACIMの 両方の合意によって為されてきました。

そ して、訳者側から客観的に見て、 この二つの組織の間の関係が、これまでの邦訳プロジェクト20年 間の紆余曲折の原因となったことは 否めません。

ACIMの出版業務というビジネス的側面をつかさどり、ACIMの 「大衆化」にも寛容な傾向のあるFIPと、 ACIMが 真に理解されるための教育を担当するFACIM との間では、 立場も視点も違うことから、 時には、邦訳プロジェクトにまつわる両者の意見が食い違うことがありました。 そうした場合には、両者の間に「綱引き状態」のようなものが見られ、 本プロジェクトにおいても停滞や中断を余儀なくされました。

そ の具体例を挙げれば、 これまでACIM との関連で人気を博してきた書籍(たとえば、G・ジャンポルス キーや M・ウィリアムソンといった人々による著作)などに関する、FIPFACIMの 見解の相違が、翻訳チーム編成の変更にも影響しま した。

ま た、 最近の「邦訳プロジェクト一時休止」という事態も、 当時出版契約のあった日本の出版社が、 公認版の訳文を出版社側で大幅に書き換えて出版する自由を要求をしてきたことに どう対応するかに関して、FIPFACIMの意見が最初は一致しな かったことが原因でした。

け れども、FIPFACIMは、 本質的には、「ACIMを 正しく後世に伝えていく」という 同じ目的のもとに協力しあっている兄弟組織であることに変わりはなく、 一時的な「意見の食い違い」があった場合もすべて、 必ず、両者の話し合いと合意により解決されています。

2013年7 月に追記:  上述の「最近の邦訳プロジェクトの一時休止」に関連して、上記出版社からは、プロジェクト再開のためには翻訳の再審査が行われるかのような説明が為され ていたようですが、実際には、別の出版社を探すための休止期間があったのみで、プロジェクト再開のために翻訳の再審査が行われたことなどは一度もありませ ん。最近まで、上記出版社によるウェブサイト上の広告に、こうした事実とは異なる内容の記述が掲載されていましたが、その出版社に正確な記述をお願い した結果、現在では訂正されています。)

 

『奇跡講座』の出版までの見通し

次 に、 『奇跡講座』はいつ出版されるのか、という点についてですが、 現在、上記のような問題は解決され、私たちのチームワークも錬磨され、 すでに最終稿を完成させる段階に入っていますし、 出版社も内定しています。ですから、近年中に出版されることは確実ですが、 これ以上のはっきりとした時期はお約束できません。

そ の理由は、以下の通りです。

* まず、残りの仕事量の見積もりに基づいて完成予定日のようなものをお約束すれば、それが少しでも延期された場合、皆様を落胆させることになりますので、そ ういう事態は避けたいと考えています。

* また、逆に、締め切り日を先に決めてその時点までに仕上がる形で出版するというようなこともできません。締め切りのプレッシャーに追われる形で無理に仕上 げれば、見落としやエラーは避けられません。

ACIM翻 訳に限らず、文章を扱う仕事は、最終段階でも数回以上、原稿を通読して見直しをするのは普通ですが、ACIMの 場合は、 ざっと1回 通読するだけでも少なくとも3-4ヶ月はかかるというほどの原稿量があります。細部に注意を払いつつ校正をしていく場合は、その数倍の時間がかかります。 この点だけを考えても、ACIM翻 訳作業は、最終段階でもかなりの時間を要するものであることを、 ご理解いただけることと思います。

* また、原書の第2版をもとにして始まった邦訳プロジェクトでしたが、その後、第3版が刊行されたため、最近の決定により、邦訳版も原書第3版の翻訳とす ることになりました。このため、2冊の小冊子『祈りの歌』および『精神療法』も、邦訳版『奇跡講座』にも収録されることになり、翻訳する文章の量が増え たという現状もあります。

*さらに、資金面の問題もあります。公認プロジェクトといっても、翻訳 者がACIMを 翻訳中の全期間の生活が保障されるようなサポートがFIPか ら提供されるわけではありません。FIPは、 原則として、どの言語においても、ACIMの 翻訳はパートタイムの仕事として長期間かけて完成させ るものと位置づけています。ですから、早期の邦訳版完成を目指している私たちは、現在、できるだけ毎日集中的に翻訳作業に取り組めるように、そのための資 金を自分たちで負担/捻 出することにより 時間を作りながら、翻訳の最終段階に取り組んでいます。

し たがいまして、 「いつ出版されるか」という質問には、 「完成された時に出版される」、そして「完成には、 必要なだけの時間をかけるしかない」というのが、 最も誠実な答えということになります。

最終原稿が脱稿した時点で、出版期日を発表いたします。


その他の参考資料

最後に、私たちは昨年以来、このJACIMサイトを 開設していますが、その目的は、邦訳版完成以前でも、ACIMを すでに学習中の皆様のお役に立てるような学習資料を提供することであり、つい最近は、 公認プロジェクトの休止期間を利用して完成させた『天国から離れて』 も刊行しました。さらに、今後は、ACIM翻 訳完成を 遅らせることのない範囲で、すでに手元にある原稿をまとめるだけで比較的簡単に 仕上げられる参考文献(ワプニック著)の刊行も、いくつか予定しています。 このように、すでにACIMを 学びながら邦訳版の完成を待っておられる方々のために、 できる限りの参考資料を提供しつつ、邦訳版『奇跡講座』の 完成に向けて全力を尽くしておりますので、その遅れにつきましてはできるだけご辛抱いただき、 完成までお待ちいただくようお願い致します。

 

                                                           2010 年8月

                                                                     JACIM 

                                                                     加藤三代子、  澤井美子

                                                                                                    

 

 

 

 

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