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反動形成

ワンポイント解説

ビデオV#13「時間が足りない」の中に出てくる「反動形成」という言葉の意味について確認したいという連絡をいただきました。この言葉のみについてのご質問でしたので、JQAではなく「ワンポイント解説」としてお答えします。

ご質問の要点は、「反動形成」とは、「思考の逆転」(DVDおよび小冊子)の中で「真理の手前でのUターン」と言われている抵抗と同じものと考えていいか”ということでした。(さらに、参照:「光が近づいてくると、あなたは闇へと急ぐ。」〔T-18.III.2:1〕)


まず、一言でお答えするなら、全く同じものではありません。この「Uターン」はさまざまな形で現れますが、「反動形成」はその現れ方の一つの形です。さらに、「反動形成」は、普通の現れ方の逆になっているというところがポイントです。


赦しの実践に取り組んでいて誰もがよく経験することの一つとして、だんだんうまく赦せるようになってきたと思っていると、何かの拍子に、再び全然できなくなったり、やる気がなくなったり、眠気に襲われたり、激しい拒否反応が起こったりする、といったパターンがあります。


これは、上記の「真理の手前でのUターン」の最もストレートな現れ方の例です。こういう状態に陥ったときは、「自分は今、自我を手放すのはいやで、それに抵抗しているのだな」と気づくことは簡単です。ですから、こういう現れ方の場合は、「認識しやすい」という意味で、扱いやすい抵抗であると言えます。


これに反して、非常に自覚しにくい形で現れる抵抗があります。その自覚しにくい現れ方のパターンの一つが、「反動形成」です。


「反動形成」という言葉自体は、『奇跡講座』特有の用語というわけではなく、普通の心理学で使われている言葉であり、「投影」と同じく、防衛機制の一つです。


そして、心理学で言う「防衛」とは、意識し続けると苦痛であるような心理的ストレス(例えば、葛藤、不快な感情、恐ろしい記憶など)を無意識の領域に押し込めて蓋をしてしまうことにより、そのストレスを感じなくてすむようにするメカニズムです。つまり、これは自分の心を守るための「防衛」です。


そうした防衛反応の一つとしての「反動形成」とは、無意識の中に押し込めた感情や思考が、顕在意識や行動に現れないようにするために、そうした感情や思考とは正反対の傾向を強調する行動や態度をとるという心の働きのことです。


例えば、「誰かを嫌っているのに、その人への憎しみを隠すために、過度に親切で愛想のいい態度でその人に接する」というようなものが、「反動形成」の一例です。

 
『奇跡講座』においては、「神からの分離は本当に起こった」と信じていることから生じている心の中の罪悪感を見たくないと思っている私たちが、それを直視するという練習をしているわけですから、当然、抵抗が生じます。


こうした状況における「反動形成」とは、「絶対に、自我を手放したくないし、罪悪感を直視したくもない」という本当の気持ちに触れないようにするために、顕在意識においては逆に、「自我を手放そう」という行動において極端に一生懸命になるというような形で現れます。


上記のビデオ「時間が足りない」の中では、「このコースを習得するには時間が足りない」と焦るとき、私たちは「一日も早く自我を手放したい」と躍起になっていると説明されています。そして、そのように躍起になる理由は、「分離は確かに起こったし、自我は実在している」と無意識のレベルで固く信じていることを顕在意識レベルで打ち消そうとしているからです。これが、「反動形成」です。


この他にも、例えば、数日間グループで合宿をして徹底的に赦しの特訓に取り組むとか、『奇跡講座』の理論全体をすぐに完璧に理解したいと思って質問しまくるとか、いろいろな形で現れることがあります。


けれども、こうした反動形成は、顕在意識のレベルでの意図や行動とは裏腹に、「分離の実在性」という無意識の信念を強化してしまいます。


もちろん、『奇跡講座』の学びへの真摯で真剣な取り組み方は必要ではありますが、上記のような反動形成の例は、極端であったり強迫的であったりするというような、何らかの不自然さが伴いますから、そうした特徴に注意を払うことによって、見分けることができます。


このように、私たちは、容易に気づけないような微妙な形で、心の中の罪悪感を取り消すことに抵抗しています。


『奇跡講座』の赦しの原則そのものは非常にシンプルですが、その実践の難しさはこうした抵抗の根強さに起因しています。


そして、他の教えには見られない『奇跡講座』の本領が発揮されるのは、まさに、こうした「微妙で自覚しにくい形で現れる様々な抵抗について明らかにしてくれる」という側面においてなのです。


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