ケネス・ワプニック インタビュー第5回

 

 

真の求道者

 

IP: 私は、あなたご自身が『奇跡講座』から受けた衝撃のようなものについて話されているのを、一度も聞いたことがないのですが、多少なりとも、あなたは抵抗したのでしょうか?

KW: いいえ、抵抗はありませんでした。私はそれまでに、このような書物に出会ったことはなかったのですが、そこに含まれているあらゆることが真実だということだけはわかりましたし、内容も理解できました。それは一部には、心理学者としての私の経歴によるものでした。フロイトをたくさん読んでいましたから、微妙な心理学的なことすべてが、完全に納得のいくものでした。「この世界全体が幻想である」という概念も、問題ありませんでした。そうしたことについてはあまり考えたことがなかったのですが、ヒンズー教や仏教の本はたくさん読んでいましたから、知的にも個人的にも何の抵抗もありませんでした。ある意味では、それは少し奇妙なことでした。あるとき、ヘレンはイエスに、その概念に関して私に少しも抵抗がないのはなぜなのかを尋ねました。

 そして彼の答えは、「そんな暇はなかったのだ。為すべきことが多すぎた」というものでした。

私自身にとっては、むしろ、「自分が探していたものが見つかった」という感覚でした。私は真の求道者でした。修道院に答えを見いだしたと思っていたとはいえ、それは明らかに、自分に「ぴったり」のものとは言えませんでした。その頃には、イエスは私にとってまさに中心的な存在となってきていて、その前の二、三年にわたって私が個人的に経験していたのは神との関わりではなく、実はイエスとの関わりだったのだとわかりました。ですから、『奇跡講座』は私にとって、明らかに、自分が進むべき次の段階でしたし、その内容もこの「次の段階」に全くふさわしいと思えました。   

 

ヘレンの抵抗

 

IP: ヘレンについて、少し話していただけませんか? 彼女の人となりや、『奇跡講座』への反応などを?

KW: 私の著作『天国から離れて』は実際のところ、その大部分が、ヘレンについての誤解を解くために書かれたものです。彼女が無神論者だったとか、『奇跡講座』を信じていなかったとか、彼女について語られている多くのことは真実ではありません。彼女は、「ひどく分裂している人」の典型的なケースでした。『奇跡講座』に深い一体感を抱いていましたし、それを信じてもいましたが、それに抵抗したのです。

そのことについては、全く疑いの余地がありません。イエスは彼女にとって中心的な人物でしたが、それにもかかわらず、彼女は生涯、彼から逃げ回っていました。彼に喚き散らしたり、彼と口論したりしていたのです。彼に対する彼女の献身や愛や怒りなど、そのすべてが私にとってはきわめて明白でした。そしてそれらのすべてが共存していました。

ヘレンは非常に描写しづらい人です。実際に彼女をよく知らなければ、描写のしょうがないような人だからです。彼女には完璧な誠実さがありました。『奇跡講座』の編集作業において、そのことがはっきりとわかりました。彼女は、このコースが神聖なものであり、イエスから来たものであり、できる限り純粋なままに保たれなければならない、ということをよく理解していました。だからこそ、彼女は自分がその邪魔をしないように退いたのです。

 

IP: 彼女は亡くなるまでずっと腹を立てていたというのは、本当ですか?

KW:   その通りです。人生の最後の時期には、それは怒りというよりも諦観になっていました。彼女はひたすら、イエスを遠ざけていたのです。

 

IP: 『奇跡講座』は彼女の役に立たなかったのですか?

 KW: 私は、ヘレンが『奇跡講座』を必要としていたとは思いません。それは、明白だったことの一つです。彼女は『奇跡講座』が言っていることを、知り尽くしていました。

ところが、私がこのコースを教えることになった最初の相手は、ヘレンでした。私たちは一緒に一行ずつ読んでいったのですが、どこかの一節を読んでいて、ヘレンが笑いはじめ、涙がこぼれるまで笑いが止まらなくなる、というようなことがありました。彼女はすばらしいユーモアのセンスの持ち主で、「ここは、さっぱりわからない。私には全くのナンセンスに聞こえるわ」と言ったりしたものです。それで私は、彼女に説明をする羽目になったのです。でも、その意味をヘレンが頭のどこかでとてもよく理解しているということは、私は十分に承知していました。 

 

 IP: 彼女は『奇跡講座』の原理を実践できなかったのですか?

KW: 彼女自身がそうすることを選んだときはできましたが、ほとんどの場合、それを選びませんでした。彼女は自分が何をしているのか、はっきり自覚していました。すなわち、自分が不満にしがみついていて、それが『奇跡講座』の教えとは正反対のことだということが、わかっていました。自分の怒りは役に立たないということを認識していましたが、だからといって、それをやめようとはしませんでした。

 グロリア・ワプニック (GW):  彼女はまた、多くの人々にとって、とても助けになる人でしたね。

KW: そうです。彼女は長年にわたって、おそらく何千人もの人たちを助けました。『奇跡講座』以前も、それを書きとっていた間も、その後も・・。

彼女は、たいていの場合、自分が助けている相手を好きではありませんでしたし、自分が彼らを助けなければいけないという事実に腹を立てていました。それでも彼女は助けるということには、とても献身的で、彼らに助言を与えていました。ヘレンは、「サイコセラピスト」という言葉の普通の意味においての「サイコセラピスト」だったのではなく、ただ「何が彼らの問題なのか」を彼らに告げることをするだけでした。

IP: ヘレンは、「私がチャネリングしたこの本を読みなさい」というようなことを言わなかったのですか?

KW: いいえ、彼女はそのようなことは決して言いませんでした! 彼女が人々に助言を与えているときに、私はたびたびその場に居合わせましたが、彼女の助言は『奇跡講座』に基づいていて、とてもよい助言でした。あとから、私はヘレンに、「あなたは自分が言ったことを聞いていましたか?」と尋ねると、ヘレンは笑いながら、「いいえ、一言も聞いていなかったわ!」と言ったものです。そしてそれは本当でした! 彼女の助けというのは、人々が対人関係を癒すのを助けるということ、とりわけ家族の人たちとの関係を癒すのを助けることに特化していました。彼女の専門分野としては、知的障害の子供の親たちの相談に乗る仕事をしていました。   

第6回へ続く